記憶のデッサン

いつもデッサンを描くとき、講師から子ども達にこれでもかと繰り返して言う言葉「確認して、観て、ちゃんと測って」これが三大ワードではないかと思います。ただどんなに指摘しても、投げかけても「えー、そう?」ということも少なくなく、どうしたら「言われたから」ではなく自分で気が付き納得させられるのかというのが我々の課題です。今回はそんな状況を少しでも打破すべく、いつもとは少し異なる方法で鴨の剥製と木馬のデッサンを進めてみました。

まず最初は描かず、最初の7分程を使って観察だけしてもらいます。その後モチーフを覆いで隠してしまい、10分程記憶に頼って形を描く時間を取ります。再度覆いを外して、自分の描いたものと目の前のモチーフを比べ、何が見えておらず、どこが狂っているのか自分たちで答え合わせをして貰いました。

今回は自分達の中に「見て描いたわけじゃない」と言う気持ちがあるので、いざ布を外すと新鮮な、また素直な気持ちで異なる点を見つける事が出来、すなわちそれが「見ようとしていなかったところ」なんだという事が飲み込めた子も居たようです。

見たつもりにならず形を合わせていくには、間違った場所を見つけ、確認する方法と力が必要です。何処がその物の特徴やポイントなのかを考え、らしさを描く事が出来るようになっていって欲しいものです。